仏教には私たちの生活に関わりのある様々な教えや諺があります。今回は、山伏装束と三隣亡の不思議な関係(一つの説)を紹介します。

山伏の装束に結袈裟(ゆいげさ)があります。鈴懸(すずかけ)という着衣の上に首から下げる袈裟で左右の胸と背中の部分に丸い装飾品がついています。
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 その装飾品には天台系では梵天、真言系では法輪の模様が描かれています。この法輪が三隣亡の由来になっているという説です。
法輪は輪の形をしており周囲に八個の矢がついています。
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法輪は転法輪ともいわれ車輪が転がるごとく仏教の教えが四方八方にくまなく全ての人々に行き渡るようにということから輪の形をしています。また、矢は仏教の教えを阻害する心の迷いや邪悪なものを打ち払う武器を意味しています。
仏教の理想像の君主でインドの転輪聖王(てんりんじょうおう)が輪宝という武器を持って敵を降伏させ乱を鎮め人々を救ったということに例えているようです。
 その輪宝は結袈裟の背中側に三つ付けられています。輪宝は仏教の強い力を持っているわけですから三つ集まれば三輪法となって更に強大になるということになります。
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江戸時代の本には三輪宝と書かれており家や蔵を建てるには吉とされていたようです。しかし、建てる人は仏の加護と富を得る最良の日であっても周囲の人々にとっては迷惑なことだと考えられ、いつしか三軒両隣を滅ぼす三隣亡となり凶日とされるようになったということです。自分だけ良ければいいという利己的な振る舞いを排して周囲と調和する事が大切という思想が背景にあったのではないかと考えられます。
法輪は本山慈恩寺の本堂正面の扉に見ることができます。
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